PAP
前立腺酸性フォスファターゼ
1938年Gutmanらが、前立腺癌患者の血中の酸性フォスファターゼが上昇することを報告して以来1)、前立腺癌のマーカーとして臨床に利用されてきました。
しかし酸性フォスファターゼは、赤血球や血小板、腎、肝など各組織に広く分布し、骨腫瘍や副甲状腺機能亢進症でも活性の上昇が認められるため、L-酒石酸を添加し前立腺由来の酸性フォスファターゼ(PAP)活性のみを測定する方法が開発されましたが、酵素活性を求めているため、感度、特異度が低く、転移を有するものしか上昇しませんでした。
その後免疫測定法の開発により、特異的に前立腺由来の酸性フォスファターゼを測定することが可能になりました。
PAPの上昇が見られた場合、その多くは既に被膜への浸潤や転移を伴っていると言われており、早期診断上のPAP測定は有用とはいえません2)。
1) Gutman A.B.,Gutman E.B.,J.Clin.Invest.,17,473(1938)
2) 岸浩史 他、泌尿器外科,4,1073(1991)
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